「JA育苗センター・五島農園見学会」報告

10月26日、小雨降る中、JA兵庫六甲「神戸西営農総合センター」の施設と「五島農園」の現地見学を行いました。

「営農総合センター」は楽農生活センターから15分程の神戸市西区平野町印路にあります。

こちらはJAの組合員さんより持ち込まれた種をお預かりし、有料で育苗をして組合員さんへご返却するという種苗センターです。
参加者のみなさんは出来上った苗を間近で見て『茎が太くてがっちりしている』等うらやましそうな歓声が聞こえてきました。

このセンターの大きな特徴は22,000枚ものトレイを生産できるキャパシティを持ち発芽温度管理、育苗管理を、職員3名・パート職員15名で365日交代管理されているそうです。
「稲」、「花」、「野菜」の三種の育苗を行っており、同一地で行っているのは日本でもここだけです。

一番大変なのは台風時期で、台風の進路が神戸へ近づいているときは、限られた人数で、屋外で管理中の苗をすべてハウス内に入れ(歩く隙間がないほどになるようです)、通過後に屋外に出し直さなければならず、とても重労働だそうです。
お預かりした種の中には(花種など)発芽にとても時間がかかる種や発芽率の悪い物があったり、持ち込まれた方のリクエスト(2粒蒔等)に沿って行いますが、昨年今年と大変な猛暑で発芽がそろわず大変なご苦労があると聞きました。

育苗ではいくつか私たちにも学び、実行出来るポイントがありました。
・セルトレイの色は、黒よりも白色で温度上昇の抑制。
・200穴よりも128穴セルトレイを使うことで土の量が増え、気温による水分の蒸発を少し回避出来る。
・播種した後はしっかりと水を与えますが、その後3日間は温度管理された場所に移動し水は与えない。水の与えすぎによる根腐れ、徒長を防ぐ効果があります。
大変勉強になりました。


そして、2カ所目としてはOB会だよりでもお世話になっている「五島農園」の五島隆久さんより、BLOF理論による圃場の説明と現地見学会を行いました。

私たちが見学させていただく3週間前には「東京農業委員会」さんが令和5年に農業新聞に掲載された「BLOF理論米作り」の現場見学会をされたとのことでした。
この米作りの大きな特徴である、除草剤は一切使用しないのに「雑草が生えた形跡がない」、また「稲の分けつ数の多さと茎の太さ」「穂の長さ」に見学された皆さんが驚嘆されたとのお話を伺いました。

「理論」とあるように圃場の土壌分析を行い
1:施肥設計して不足しているアミノ酸、ミネラルを施肥する。セルロース(細胞壁)がしっかりとした作物が育ち、害虫からの被害が減る
2:太陽熱養生処理により土壌中の害虫の卵の死滅、病気の減退が見込まれる。

BLOF理論を正しく実践することで、高品質で多収穫の作物を育てることが可能になり、本年度の米の収穫量も増えた。農業の効率を高める事が出来るとのお話を頂きました。
現地の圃場の見学では直(じか)に畝を触らせていただきましたが、とてもフカフカしており間違いなく『団粒構造』が出来上がっていると感じました。
お忙しい中大勢が圃場に押しかけたにも関わらず笑顔でご対応いただきありがとうございました。


見学会終了後「でん園」にて懇親ランチ会を開催。

朝の集合時には一度も話したことがなかった人とも、食事をしながら普段の農作業中の「こんな時どうしてる話」で時間を忘れるほど盛り上がりました。

文:飯田晴美 写真:中澤耕二・原田隆彦


施設見学会の参加者にお答えいただいたアンケートの一部を紹介いたします。

  • JA種苗育成施設の見学での説明が非常にわかりやすく、参考になった。
  • 神戸の農業が盛んとは感じていなかったので、 稲・野菜苗・花の育苗センターが日本でも指折りの施設があるとは思わなかった。ビシッとした軸の太い苗を見て感激しました。
  • 普段一人では行けない施設見学会に満足しています。
  • JA種苗育成施設の育苗過程、管理の難しい点、その対応等を知り大変勉強になりました。
  • 五島さんが理屈で説明して下さったため、見聞きしている栽培技術の理由が分かってよかったです。
  • 五島農園の講話が印象的だった 。説明がよく理解できた。
  • 五島さんの経緯を含めた講義も非常にためになった。ただし、有機農業を生業とすることは非常に厳しく難しいと感じた。センターの有機農業塾も現在受けており、同様に難しさを感じている。
  • 農について普段出来ない会話が出来る 食事を交えた懇親の場があって良かった。

アンケートにご協力いただいた皆さんありがとうございました。