六甲縦走大会の季節、本日は秋晴れ、稜線が視界のすべてに入る・・乗り慣れた電車に揺られる、・・今となっては週2の通勤・・。
あの六甲の山並みの先に我が家がある・・その六甲の先で農業をやってみたい・・だが、就農への入口は未だ視界に入ってこない・・。
今の状況は、極めて中途半端だ。家庭菜園と割り切ることも、就農へ大きく踏み出すことも出来ていない・・。
既にどこかに行き着いているわけではないが、自身将来、振り返るためにも、綴ってみた。
現在、3ヶ所“ハタケ”を借りている、何れも小さなもので、行き来を思うと効率は悪い。
はじまりは、駅前就農講座・・なので3年になる。
毎回質問をする受講生だったが、回答は、シリーズ講座が終わった後まとめて・となった・・迷惑だったかもしれない。
その秋より、「生きがいコース」の受講が続いている。
仕事中心だった生活も50代も半ばを過ぎると次のことを模索するようになる。自分もそうだった。
強く意識したのは、人生のサイゴ・穏やかなものにしたい。
ともに長く施設で患ったのち他界した父、母のことが脳裏にあるのだろう。
コツコツと情報を集めた。そして、座学の駅前就農講座へ行き着いた。
そこでは、“ナリワイ”としての農業の厳しさを知った。
実践である「生きがいコース」では、純粋に作物をつくる喜びを味わった。
先人の知恵を知らないだけだが、様々に工夫ができるフィールドだと思った。
とにかく面白い。
就農への道へ憧れながらも、次の一歩がなく、現在もサラリーマンを続けながらの作物づくり。それが、現状だ。
生活の場を転々としてきた転勤族、その地に縁もゆかりもない。一日のうちのほとんどが職場、家では寝るだけ。地域に根差してもいない。
縁故もないサラリーマンにとって、農地法3条の壁は高い。突破口がないかと「施行令・施行規則」、「事務にかかる処理基準」なども読み漁った。
「全部効率利用要件・農業技術」については、若い農業学校生と一緒に「農業技術検定試験」を受験した。
現在は、新制度の神戸市ネクストファーマー制度認定校で学んでいる。しかし、確かな就農への手ごたえはない。
持て余しているだろう農地を借りられない、そんなイラダチを、志を同じくするスクール生が同様に抱えている。
人生100年時代と叫ばれているが、その入口は、若年者にのみ用意されているのか。・・そうであっても、なお、作物つくりは魅力的な世界に映る。
いままで知ることもなかった取り巻く課題を知ることもできた。
「硝酸態窒素汚染」、「グリホサートの緩い規制」、「除草剤耐性遺伝子をもつGMO」、「想定換算した農家の低時給」、「種子法廃止・種苗法改定」、「ネオニコチノイド系農薬」、「農水省・みどりの食料システム戦略」、そして、誰しもが認識した「突出して低い食料自給率」・・。
野菜作りをして初めて知った。「野菜生産」と、ともに、「商品化計画」、「売り方」、「販路開拓」、「食品加工」にも興味を持った。「アシストスーツ」、「ドローン活用」、「環境制御」など農業の「ICT、AIの進捗」、「包装資材開発」、「SDGs取り組み」など、農業EXPOでは先進技術に驚かされた。
いったいどれだけ学ぶのか・・。底がないのが面白い。農業スクール生やOB会の先輩、生きがいコースの方々と話をするのは、愉しみだ。話題が刺激的、あたまが活性化される。
学べば学ぶほど、調べれば調べるほど、大きく広がる面白い世界だと思う。
「CO2ゼロエミッション化」、「生産性向上」、「効率化」、「自動化」、「AI、ICT活用」を謳っておきながら、「有機」も“25%”って、どういうこと?実務の現場でどう融合させるのか理解が及ばない。
今は、逆張り思考で行こうと思う。
「非効率で手間がかかる」、「収量を多く望めない」そうしたものに挑んでみたい。
理由は単純、そのほうが、面白い、愉しめるような気がするから。このことは譲りたくない。
「新しい業への挑戦」と「穏やかに暮らしたい」とは、相容れない。
「収益性」と「愉しむ作物づくり」も調和が難しい。
興味を持ち続け、愉しみ、面白味をもって、作物をつくる・・こんなことが、「ナリワイ」として自分に出来るのだろうか・・まだ、手ごたえがない。
さて、3年後、5年後はどのようになっているか。
就農の入口にたどり着けているのか、自分の人生、自分のこれからが面白い。
生きがい31期~ 中澤耕二