これぞ持続可能な農業! 弓削牧場 施設見学会レポート

4月23日、神戸市北区にある弓削牧場の施設見学会を実施しました。

この日は快晴。牧場や牛舎、ビニールハウス、消化液精製施設などを牧場長にご案内してもらいました。

この牧場では約50頭の牛を飼っていますが、放牧を行っているので山など好きな場所でゴロゴロしているのが特徴的です。

そしてここが導入したのは搾乳ロボットシステム。牛が搾乳場所までやってきて、自動で吸引装置が装着されて搾乳を始めます。搾乳完了まで人の手を介しません。これにより、搾乳の労力を大幅に軽減することができ、牛がストレスを感じることなく快適に生活できるようになっています。


そんな牛たちのふん尿は1頭で約50kg/日もの量になるため、このふん尿を有効活用することは非常に重要です。

弓削牧場では、このふん尿から牛糞堆肥と消化液を作っています。消化液は有機JAS資材認定されたバイオガス液肥で、濃い緑色をしたドロドロとした液体です。

この日、野菜を栽培しているビニールハウスの中では、消化液を原液のまま作物の株元へドロリとかけていました(薄めて使う場合もあるそうです)。

野菜を一口かじらせてもらいましたが、この消化液を使って育てた野菜は非常に味が濃くて、スーパーで売っているものとは一線を画すものでした。弓削牧場の野菜が高級レストランに採用され、消化液で育てた酒米・山田錦が特Aと評価されたのもわかる気がしました。

実は、この消化液の効能は科学的にまだよく判っていないとのこと。
とはいえ「消化液が土の中の菌を活性化させている(牧場長談)」のは間違いないようです。


さて、見学後は併設レストラン「チーズハウスヤルゴイ」での昼食です。

メニューは地鶏のハーブ焼き、ホエイ(チーズを作るときに出る上澄み)で作ったスープ、生チーズ、カフェオレ、デザートでした。
添えられている野菜は前出のビニールハウスで作られたものが使われ、ライスは中西指導員が消化液を使って育てたお米が使われていました。
この牧場で採れた乳製品や野菜が使われた料理はどれも新鮮で美味しかったです。


弓削牧場では牛のふん尿を有効に利用し野菜を生産することで持続可能な農業を実践しており、牛たちの健康と環境保全を考えた経営をしていることも伝わってきました。神戸市からSDGs大賞に選ばれたのも納得です。

美味しいランチで舌鼓を打つとともに、今回の見学会を通じて、土作りの大切さや循環型社会の実現について改めて考えさせられました。

文・写真:福原史生